堺市で、自宅前の道路で通行人を突き飛ばし、平野保生(79歳)が逮捕されました。
平野容疑者は自宅前の道路を「私有地」と主張し、通行を妨害するトラブルが絶えなかったそうです。
私道と公衆用道路の違いとは?私有地だから通るなと言える場合はあるのでしょうか?
私道をめぐるトラブルは多く、裁判に発展することもあります。トラブル回避のために、確かな知識を知っておきましょう。
私道と公衆用道路の区別
堺市の道路通行妨害事件
平野容疑者は2年前にも、同じ道路をめぐって逮捕されています。
当時、道路は植木鉢などでほとんどふさがれ、
歩行者はわずかな隙間を通らざるを得ない状況でした。
平野容疑者「あの人は通る権利のない人が通ってるんや、勝手に。ここは生活道路じゃないの。僕は通路として使用させないと宣言してるの」
登記簿上は周辺住民との「共有地」を、
「私有地」だから通るなと主張する平野容疑者。
今回の場合、通るなと言うことはできるのでしょうか?
結論から言うと、
通るなとは言えません。
平野容疑者の自宅前の私道は、
私道ですが、通常必要な固定資産税が免除されています。
固定資産税が免除されていることを考えると、地目にかかわらず、実質的には公衆用道路扱いになっているからです。
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地目とは?
わかりやすく言うと、土地の種類のことです。
それぞれの土地には、
田、畑、宅地、山、道路など、
その土地の種類を表す「地目」がつけられています。
ここで問題になるのは、登記上の地目と実際の用途が一致しない場合です。
特に道路についてはその例が目立ちます。
道路には、「私道」と「公衆用道路」の2種類ありますが、
地目が「道路」となっていれば、通常「公衆用道路」を指します。
個人の所有する「私道」は、
宅地や畑など、元々の地目のままになっていることが多いです。
最近多い建売住宅などで、
不動産屋が開発・分譲した場合は、
地目変更して「道路」に直しています。
では、どこで私道と公衆用道路の区別を判断するのか?
一つは、固定資産税が免除されているかどうかが基準になります。
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私道で固定資産税が免除になる場合
通常「私道」は個人の土地なので、所有者に固定資産税がかかります。
一定の要件を満たす場合は、固定資産税が免除となり、実質的に「公衆用道路」扱いとなります。
登記上の地目が道路になっていなかったとしても、固定資産税の課税上は道路扱いとすることは可能です。
地方税法第348条2項に基づき
- 私道が道路として使用されている
- 使用制限(通行禁止等)がない
- 無料で誰でも自由に通行できること など
地方自治体によって若干要件が異なる場合がありますが、概ねこのような私道は固定資産税が免除になります。
つまり、平野容疑者の自宅前の私道は、
事実上誰でも通行が可能な道路だと考えられるのです。
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私有地だから通るなと言える場合は?
所有者が固定資産税を払っている場合です。
そうなるとその私道は、完全に所有者の私有地となり、
通常所有者以外の立ち入りは禁止です。
例えば、道路から離れた土地を購入し、
道を造らないと道路まで出られない場合に、
土地を買った人が、家から道路までの道を作ったとします。
これは「私道」です。
むやみに他人が通行することは許されません。
私道と公衆用道路の区別はつきにくいこともあります。
車があまり通らないからと言って、勝手に人の土地に車を停めるのはトラブルのもとです。
家屋に侵入すれば住居侵入罪で泥棒ですが、土地の場合は明確に罪に問えないため、トラブルに発展しやすいんですね。
一方、公衆用道路も通行の邪魔になるため駐車は禁止です。
「駐禁」になります。
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整理とまとめ
- 私道と公衆用道路の区別は、固定資産税が免除されているかどうかが一つの判断基準。
- 免除されている場合は、通行するなとは言えない。
今回のように明らかに道路の場合に、通行するなと言うのは理不尽ですね。
ただ、私道は共有地の場合など、法律と照らし合わせても判断が難しい面があります。
慎重に対処し、できるだけトラブル回避に努めたいですね。